男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

密偵から海賊船が出航したと一報が入る。

カイルとルイは密偵を1人連れ,小舟に乗り込み海賊船を尾行する。

厄介な事に海賊船3隻は付かず離れずの距離を保ち、ボルテ公爵が監禁されている船を真ん中に、前後で護衛するかの様に配列している。

「どう言う事だ?

普段海賊は統制も取れ無い輩が集まった集団の筈なのに、まるで軍隊のような配列ではないか?」
ルイが小声でカイルに話しかける。

「まるで、奇襲がある事が分かっているかの様ですね。」
ポツリとカイルが言う。

「これじゃ、見つからず乗り込むのは無理では…?」

カイルは咄嗟に考え、これしか無いと思い立つ。

「ルイ殿、私に考えが。

私が、竜に乗って船員達の目を惹きつけます。
その間に、小舟で近付き船に潜り混んで下さい。後は、作戦通りで。」

カイルは密偵に指示をする。
「いいか、作戦通りルイ殿を守りボルテ公爵を連れ出すのだ。
もし、警備が多すぎ連れ出せ無い場合は、戦闘が始まるまでその場で待機、俺も出来るだけ早く乗り込み、すぐ追いかける。
出来るな?」

「はい。了解しました。」
密偵は小さく敬礼する。
「誰よりも身体能力に長けている。大丈夫だ。お前なら出来る。」
密偵は強く頷く。

カイルはハクを呼び出す為、竜にしか聞こえない笛を取り出す。

「カイル殿、その首から下げた小瓶は姫からですか?」
不意にルイがカイルに聞く。
カイルは強く頷く。

「では、貴方も無事に帰らなければなりませんね。
帰る場所があるからこそ、人は強くなれるのですよ。」
そう言ってルイは強くカイルの肩を叩く。

「…肝に銘じます。」