男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

辺境地カーサから生まれ育った港町ボルジーニまで馬車で2日もかかった。

しかし、ブルーノの背に乗れば休憩を入れても半日足らずでたどり着いてしまった。

カーサを飛び立ってから寂しさで、ブルーノの背で泣き続けた。

お父様が言っていたわ。

泣く事は決して悪い事では無いと、心を浄化してくれるから泣きたい時は我慢しないで泣くべきだと。

泣いてスッキリしたせいか気持ちも前向きになった。

今は夕刻時、
目立たぬ様に街角でブルーノから降りサラは1人、二年ぶりの故郷の空気を味わっていた。

なんだかお腹が空いたわ。
メイン通りにある美味しいパスタのお店はまだやってるかしら?

ブルーノに果物も買わなくちゃ行けないし、ついでに明日の朝食用にパンも買おう。

ワクワクした気持ちを抑えながら、メイン通りまで小走りで行く。

街灯に火も灯り始め辺りもだんだん暗くなる頃メイン通りまで辿り着く。

あれ?お店が一軒も開いてないわ…。

お父様が統治していた頃は夕刻時、飲み屋街は賑やかで治安も良く、街は活気に満ち溢れていた。

それなのに訪れた繁華街はどのお店も暗く、人もまばらで街のあちこちにゴミが散乱していた。

あの活気に満ちた港町はどうしてしまったのだろうとサラは心配になる。