無性に彼女に会いたいと思う。
ただ戦場帰りの気が立っている状態で彼女に会うのは危険だとも感じる。
自分が何をしでかすか分からない。
足早に部屋に戻りカイルは着ていた防具を脱ぎ捨てる。
良く見ると、体に無数の擦り傷と打ち身でできたあざがある。
海賊との戦いは普通の戦闘より苦戦を強いる。
揺れる船の中、相手は各自武器も違えば統制も取れていない輩だから、あらゆる方向から攻撃を受ける。
これぐらいの傷で済んで良かったと思いながらシャワーを浴びる。
サッパリしていくらか気持ちが落ち着いた時、軽食が運び込まれる。
腹を満たし、寝支度も整え灯りを消した頃、
ふと続き間になっている執務室から灯りが漏れている事に気付く。
カイルは不審に思いそっと中を覗き見ると、
ソファにサラが小さく丸まって寝ていた。
そっと近付き、そのあどけない寝顔を盗み見る。天使のようだと、しばし見惚れてしまう。
無意識に白く滑らかな頬に触れようとする己を戒める。
しかし、こんな所で寝かすのは忍びない。
風邪をひかれては困るし、と自分に言い訳をし、そっと体を抱き上げ寝室のベッドへ運ぶ。
起こさぬようにそっとベッドに寝かし毛布をかける。
いつまででも見ていられるなと、床に座り寝顔を堪能してしまう。
ひとまずソファで寝るか、と窮屈なソファに横になる。
ソファからもサラが見えるように若干配置を動かしてしまう自分に少し呆れたが、
寝顔だけで充分癒され、疲れた体は知らぬうちに眠りに落ちていった。



