男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

今日は、雲ひとつない爽やかな青空。

空を見上げてサラは笛をピーーっと吹く。

バサァ バサァ

何処からとも無く風が吹いたかと思うと、
一頭の青い竜がラサの目の前に降り立った。

「ブルーノ、今日からよろしくね。
長い旅になるから支度は大丈夫?」
サラはブルーノに果物を与えながら優しく語りかける。

ブルーノも食べながら理解しているかの様に首を縦に振る。

ブルーノの背中には蔵と手綱だけで無く、藁で編んで作ったハシゴがかけられている。

実は腕の力が乏しいサラはどんなに練習しても1人でブルーノ背中に登れなかった為、それを見兼ねてルイが作ってくれたのだ。

本当に2人には頭が上がらない。

サラは涙が出そうになるのをグッと耐えながら、後ろに並んで立つ夫婦に振り返り明るい声で挨拶をする。

「ルイもジーナもいつも私を支えてくれて、ありがとう、お父様の無実を晴らす為に行ってくるわ。」
気丈にも涙は見せず笑顔で別れを告げる。

「どうかご無事で…。」

2人は深くお辞儀をして、サラの旅立ちを見送ってくれた。

「では、行ってきます。」
 
ブルーノの背に乗りサラは空高く飛び立つ。
 
次帰って来る時は絶対、お父様と一緒に帰ってくるからと心で誓う。