男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

ジーナはサラの髪を切る事になかなか決心がつかなかったが、最後は泣く泣く切ってくれた。
「これが精一杯です」と肩より上でなんとか切り揃えた。

髪を紐で1つに纏め、サラシを巻いて胸の膨らみを隠し、兄の服を着たサラは一見若き貴公子の様な出立ちだ。

ただ、やはり背の低さと手足の細さで男性としては物足りない気がして鏡の前でため息を付く。

「こう言うのも何ですが…良くお似合いですお嬢様。」
涙で真っ赤になった目を拭きながらジーナが言う。

「ありがとう、ジーナ。
少年ぐらいには見えるかしら?」
鏡の中の自分が軟弱に見えて少し弱気になってしまった。

気を取り直して母の形見の短剣を何処に忍ばそうかと考える。

「男性は何処に短剣を隠すの?」

「それでしたら、これもリューク様の形見になりますが足首に付ける隠し鞘があります。」

「さすが、ジーナありがとう助かるわ。」
足首に付けて歩いてみると少し違和感があるが、これは慣れるしか無い。

「あとこれは、クッキーとサンドイッチです。お腹が空いたら食べて下さい。」

サラは、至れり尽くせりのジーナにお礼を伝え抱きしめる。

「ありがとう、ジーナ。
心配しないで待っていてね。着いたら手紙を必ず書くわ。」

「どうか…お体を大切に…無理は禁物ですよ。身の危険を感じたらどうか、すぐに帰って来てください。」
涙を拭いながらジーナもサラを抱きしめる。

「サラお嬢様の事は勝手ながら、自分の子の様に思っています。なので、もしも1人で寂しくなった時、私達がいる事を忘れないで下さいね。」