ピッツァさんに目敏く見つかってしまった。

「お、ミリィ。それ、綺麗なメダリオンだな」
「あ、はい。アスター殿下がくださいました」  

いけない。普段は見えないようにしていたのに、シャツの襟ぐりから見えてしまってた。

仕立て屋でアスター王子からプレゼントされた、メダリオン。チェーンを通したペンダントになっていたから、あれ以来なんとなく身につけてる。

「……なんで嬉しそうなんですか、アスター殿下。そんなに欲しいならお返ししますよ?」
「いや、そのまま身につけておけ」

メダリオンを見たアスター王子の口元がわずかに緩んでた。ご自分の肖像画を入れてる気に入った品物なら、わざわざわたしに渡すことないのに。まったく意味がわからない。

「アスター……おまえ、本気なんだな?メダリオンを贈ったってことは」

ピッツァさんが腕を組み、怖いくらいの真剣な眼差しをアスター王子に向ける。

「中途半端な決意なら、いっそやめろ。ミリィはアタシには、かわいい妹みたいなもんだからさ」
「ああ、わかってる。いい加減な気持ちではない。レスターには負けない」

なぜ、ここでレスター王子やわたしの名前が出てくるのか。何やら真面目なやり取りだけど、なんのためなのか。わたしにはさっぱり理解できなかった。