(……やっぱり、布も取ってしまおうっと)

胸に巻いた布も外して濡れタオルで拭くけど、最近なんだか少し大きくなってる気がする。
激しい動きや鎧には胸が邪魔だから布で押さえてるけど……。

自然とため息が出てきて、これ以上大きくならないでよ、なんて願ってしまう。

あともう少しで拭き終わるという時に、突然ドアがガチャリと開く。

「ミリィ、帰ってたのか?明日……!?」

アスター王子と目が合った瞬間、空気が凍りついた。

「ぎゃあああ!な、なに見てるんですか!!スケベ
!早く閉めてください!」
「す、すまない!」

慌ててアスター王子はドアを閉めた……自分が中に入って。

「閉めたぞ……いてっ!桶を投げるな」
「そ、外に出てください!いつまで見てるんですかあ!!」

涙目でぐぐっと睨みつけると、さすがにアスター王子も慌てて部屋から出ていってくれたけど。

(裸……み、見られた……アスター王子に……も、最低……)

いくら男勝りと自他ともに認めても、羞恥心まで忘れたつもりはない。それが無ければただのガサツだ。

「うぅ……絶対、言うこときいてもらうわ」

でも、いちいち落ち込んでいられない。これがチャンス、とたくましく利用しなくては。

(よし……ショートソードの扱い方を教えてもらおう)

ちゃっかりとアスター王子への要求をいくつか考えておいた。