なんだかんだと二人がかりで部屋を片付け、夕食後いつものように訓練に精を出した。

(……やっぱり、ユニコーンはすごいな)

素振りをした後、まったく痛みがなくて驚いた。昨夜の落馬のダメージも完全に無くなってる。

(それにしても…アスター王子のお母様が騎士だったなんて……)

そして、もう15年も眠り続けていらっしゃる。何をしても目が覚めないなんて……。

(お気の毒……だよね)

なんとか、ならないかな?でも、カツレ草ですら眠り病に効かなかった。わたしには何も思いつかない。
一瞬、ユニコーンが思い浮かんだけど。たぶん、気に入った人間にでないと無理だろうし。角を無理矢理奪うのは論外。

「あ〜モヤモヤする。よし、今は体を動かそう」

今日、初めて対人戦を経験して痛感した。自分の実力不足を。

「お、やってんな!」

ちょうどいいところに、フランクスが木剣を持ってやってきた。早速彼にお願いする。

「フランクス、ちょっと組み手の相手になってくれる?」
「お、やる気だな?いいよ」

フランクスくらいの相手から始めよう。いくら鍛錬しようが、実戦で役に立たないなら意味がない。

「はっ!」
「おっと?」

やっぱり、全然違う。生身の人間とでは思い通りにいかないし、緊張感に圧倒的な差があった。

(もっと……もっと強くなるんだ!誰かを護れるように)

アスター王子やピッツァさんのように、強くなりたい。足手まといになりたくない。強い思いを胸に、フランクスと組み手で実戦さながらの鍛錬をした。