「情けないねぇ、今どきの男は。女の子ひとりに二人がかりかい」

(えっ?)

今の今までまったく喋らなかった貴婦人が声を出すと、突然目の前に極彩色の布が舞う。

そして、ガギィイン!と、澄んだ金属音が響き渡った。

視界を塞いでいた布が外れると、目の前には真っ赤な髪をポニーテールにしたクロスアーマー姿の女性がいて、幅広の剣で大男のハンマー攻撃を受け止めていた。

「はははは!これくらいで、このアタシ……ピッツァ姐さんをやれると思ったら、大間違いだよ!」

グググ、と踏ん張った女性は、鍔迫り合い状態からなんと大男のハンマーを押し返し、そのまますごい勢いで跳ね返す。体勢が崩れた大男は、また立て直そうとするけど。そのスキを女性が見逃すはずがなかった。
 
「ふん、がら空きだよっ!」

ロングソードを素早く振った彼女は、容赦なく大男の足を斬る。両足をやられた大男は、立てなくなり崩れ落ちた。

「はっ!」

灰色男のナイフを交わしたわたしは、両手で男の腕を掴む。また繰り出されたナイフをわざと受け、痛みが走るけど。そのまま後ろから女性が灰色男の腕を斬る。そして、痛みを堪えたわたしが灰色男の後頭部を木剣で殴り、ようやく昏倒させることができた。