アスター王子が同期たちの憧れ……と聞いて、半信半疑で部屋へ戻ったけど。ドアを開けた瞬間に否定できた。

昨日掃除と整理整頓したはずなのに、足の踏み場もないほど乱雑に散らかった室内。そして、ベッドに横になるアスター王子は……

クローゼットからはみ出したバスローブを投げつけたわたしは、ため息を着いて床にあるものを拾い集めた。

「なんでまた裸なんですか!着るための服がくしゃくしゃだし……ぼくがいない2時間で、何があったらこんなに散らかるんです!?」
「……探しものをしただけだ」

アスター王子が渋々バスローブを身に着けてくれて、ほっとする。異性の裸をじろじろ見る趣味はありませんから!

そして、アスター王子はわたしに命じてきた。

「ミリィ、片付けなくてもいい。後で掃除係についでにやらせる」
「なにをおっしゃいますか?騎士は基本自助努力じゃないですか。自分の身の回りのことは自分で。鉄則ですよね?」

わたしが正論を言うと、ほら。また押し黙った。

アスター王子は自分のバツが悪くなると、すぐ黙るんだよね。

「……いい、後でオレが片付ける」

なぜか観念したようにおっしゃるけど……後で?

新しく用意したシャツとズボンを身に着けたアスター王子は、籐のバスケットを手にしてぼそっとおっしゃった。

「城の敷地内だが、少し遠乗りをしよう」