「あの…?ぼく、なぜ座るんですか?」
「いいから、黙って座ってろ」

朝食を取るために食堂に行くと、アスター王子は椅子を引いてわたしを強制的に座らせた。辞退しようとしても、“座れ”と無言で睨まれて終わり。

そして、給仕が持ってきた朝食は……なぜかふたり分。気のせいじゃない……わたしの分はやたら大盛りだ。

「アスター殿下!ぼくはご一緒なんて……」
「黙って食え」

そんなふうに、有無を言わさず一緒に食事を取らされまして…。

(なんなんですか!嫌がらせ?)

食前の祈りも一緒にしたけど、心の中でアスター王子に文句を言っておいた。
鴨肉のロースト、ソーダブレッド、豆のスープ、蒸した川魚、チーズの盛り合わせ。果物……。
好き嫌いはないし、体を作るためには必要だけど。皿に山盛りはさすがに食べ切れませんよ…。川魚なんて3匹分はあるし。

「……アスター殿下…さすがにこれは無理です」
「ケガを治したいなら、食え」
「むちゃくちゃですよ!明らかに3人前はあるじゃないですか」

頑張って平らげようとしたけど、どうしても2人前でギブアップ。げっぷ……き、気分か悪くなりそう。

「仕方ないな……オレが食ってやる」
「はい…お願いします…あれ?」

(アスター王子……たくさん食べられるんだ?なら、なぜいつもあんなに残すんだろう?)

なぜか嬉しそうにわたしの残したものを食べる姿を見て、首をひねった。