「アスター殿下、朝ですよ!起きてください」

毎朝、毎朝。ベッドのアスター王子を起こす、いつものルーティンだ。
たとえケガをしたところで、いつもの仕事に手を抜くなんて甘えは許されない。
井戸で汲んだ水で洗面器を満たし、上司を起こすために声をかける。
ここで起きないのが、いつものアスター王子。起こすために引っ張ろうと布団の端を掴むと……。

ムクッ、と布団のかたまりが起きる。そこまではいい。いつもここからだ、と布団を掴む手に力を込めると。バサッと素直に布団が剥がれたのが意外過ぎて、勢いあまってその場で尻もちをついてしまった。

「いたたっ…」
「ミリィ!大丈夫か!?」

アスター王子がベッドから下りて、手を伸ばしてくださる。それに甘えて勢いよく立ち上がると……。

「ぎゃああああ!…な、なんでまたハダカなんですか!昨日、あれだけ服を着てくださいっていいましたよね!?寝間着も用意しておきましたよね!??」

アスター王子の見事な裸体を、しっかりと拝見してしまいましたよっ!
わたしが怒っても、寝起きのアスター王子には馬耳東風。

「仕方ないだろう。暑いんだからな……おい」
「……近寄らないでください。露出が趣味の方とはあまりお近づきになりたくありません」
「誰が露出狂だ!私室でしかしない」
「一応、乙女のぼくもいますけど?」
「乙女?どこの誰がだ?」

わざとらしくキョロキョロ辺りを見回すから、よろけたふりして足の指をかかと落としで軽く踏んで差し上げました。

「#&%@!!!」
「あら、すみませ〜ん!足のケガでうまく歩けなくて」

オホホホ、とわざとらしい笑い声を上げた。