狩猟会最終日となる7日目。

その日は朝から霧が深く、5m先も見えなかったけれども、最終日という事で貴族達の希望で強行された。

ただ、やはり視界不良という事で安全のため誤射を防ぐ意味で十分な間隔で狩りをする事が決められた。

「こりゃあ、誰が誰だかわかんないねぇ」

今日だけはアスター王子の希望でピッツァさんがアスター王子の小隊に編成された。
もちろん、わたしが昨夜アスタークの夢を見たから。わたしとアスター王子以外で唯一事情を理解できるし、何より頼もしい戦闘能力がある。いざという時は頼りになるだろう。本人もソニア妃のためだし暴れられるなら、と一つ返事で承諾してくれた。


「こういう時は霧の流れる方向をようく見ておきなよ」
「はい!」

ピッツァさんと連れ立って騎馬で警護していると、なんだか霧がやけに濃く…しかも、甘ったるい匂いが混じり始めた気がする。

「ピッツァさん……なにか、変じゃありませんか?」
「ああ、嫌な気配がするな。だが、面白い!」

背中に背負った大剣をスラリと抜いたピッツァさんは、にやりと不敵な笑みを浮かべた。

「アタシの本能が、ビンビン感じてるよ!このブラックソードが、早く敵をぶった斬りたくてうずうずしてる!!」

そう言ったピッツァさんは、馬の横腹を蹴り森の中へ突入する。

「ピッツァさん!」
「ミリィ、遅れず着いといで!」

数秒後、わたしも続けてアクアの横腹を蹴った。