「えっ…あなた…ソニア妃のお腹にいたの…?」
“そうだよ。アスターとはふたごってやつかな…でも、生まれたのはアスターだけ。母様と過ごしたのはアスターだけ。ミリュエールだってアスターのそばにいる……”

その時、ゾワッと背中が寒くなったような気がした。
男性は笑っているのに、凍えるような空気を発していたから。

“だから、ミリュエール。君は夢の国に来るべきだよ。アスターとばかり遊んでないで、ぼくと遊ぼうよ。ずっと、ずっとみんなで楽しく暮らそう”

ニコニコと手を差し伸べるけれども、わたしはやっぱり首を横に振った。

「……やっぱりダメ。ねえ、それより名前がないと不便でしょ?アスタークはどうかな?」
“アスターク?”
「希望の星、って意味よ。あなたにぴったりだと思うわ」

わたしがそう説明すると、彼…アスタークは両手を合わせて繰り返した。

“アスターク…アスターク!うん、いい。ぼくの名前……ぼくにも名前ができたんだね!”

気に入ってくれたようで、再びくるくる回るアスターク。そして、そのまま彼は告げてきた。

“明日、楽しみにしててね。とびっきりのプレゼントを用意したから”