狩猟会2日目から5日目は警備を強化しただけあり、特に問題なく過ぎていった。

その間にいつの間にかソフィア公爵令嬢とは度々言葉をかわす仲になった。
今まで同世代の女の子の友達はいなかった事もなかった。けど、わたしが兵たちの訓練に混ざったり男の子より勇ましい遊びをしているうちに、自然に距離ができてしまっていた。

女の子たちの興味は大抵オシャレと美味しいものと男の子の話。わたしはそれよりも、武器と訓練と戦いの話。そりゃあまったく噛み合うはずないわね…。

でも、ソフィア様は女性ながらズボンを履いて狩りに参加してるだけあり、なかなか勇ましい。
3日目には一人で鹿を射止めたのだから、その腕もなかなかのものだった。

「わたくしも、実は騎士に憧れていたの。でも、将来の王子妃……王妃となるならば、と諦めねばならなかったわ。でも、今はあなたを見てると憧れのままで正解と思う。わたくしは所詮甘い夢を見ていただけだもの」
「……わかりませんよ?ぼくより勇ましい騎士になりそうですし」
「いいえ。結局、わたくしには騎士も王族も荷が重すぎるの。だから、アルベルト殿下が臣籍降下して公爵家を継いでくださるとおっしゃられた時は本当に嬉しかった…」

誰にも聞かれない気安さか、ソフィア様はわたしにたくさんお話をして下さる。

アルベルト王子が公爵家を継ぐ決意をされたのが、ソフィア様のためなんて…。

王位継承争いで有利になってきたのに、あえてその立場を捨ててまで彼女の望みを叶えられたんだ。

その深い御心と愛情に、感銘を受けた。