「ああ、レスター殿下の“アレ”ですか。起きてるのに寝言うわ言の類いですわね」

ソフィア様にまで、“アレ”で通じるなんて……。
レスター王子はああいった迷惑行為を、いつでもどこでも繰り広げているんだろうか?
想像しただけでストレスが溜まりそうなので、やめておいた。

「まったく……兄として情けない。だが、アスターは信頼できる。ミリュエール嬢、どうかアスターを信じついていってやってほしい。あいつは実は寂しがり屋だからな」

アルベルト王子からそんな事を言われ、思わず頷いた。

「はい!ぼくはどこまでもついていくと約束しました…このメダリオンにかけて」

首に下げたメダリオンを見せると、なぜかお二人は驚かれてた。

「……そうか、アスターもやっと大切な者を見つけたのだな」

心底安堵したようにアルベルト王子がおっしゃるから、どうやらアスター王子の事を常に気にされていたのだと窺い知ることが出来た。
レスター王子はともかく、アルベルト王子とアスター王子は異母とはいえ兄弟として良好な関係を築いているらしく、わたしもホッとする。


そして、アルベルト王子は予想外のお言葉を出された。

「これで、私は遠慮なく公爵の跡継ぎとなれる。アスターを頼むよ、ミリュエール嬢」