「まったく、レスターのわがままには困ったものだ。だが、そのおかげで私はソフィアという素晴らしい女性に出逢えたのだが」
「アルベルト殿下。わたくしも……殿下とお逢いできてよかったですわ……わたくし、幸せですもの」

また見つめあい照れ笑いするお二人……なんだかこちらがむず痒く、ちょっと恥ずかしくなる。
そわそわと落ち着かないわたしを見たアルベルト王子は、気まずそうに咳払いをされた。

「……ごほん。ま、まぁ。レスターのわがままっぷりには周囲も手を焼いているからな。兄としてもこれ以上見過ごせない……そこで、とある作戦を陛下の許可を得て内密に実行することにした」
「ふふ、アルベルト殿下も策士ですものね」

可笑しそうに笑みを浮かべるソフィア様は、愉しげにわたしに協力を依頼してきた。

その作戦とは、至極単純で…だからこそ効果的なもの。

「なるほど……わかりました」
「頼むよ。君には負担をかけて申し訳無いが」
「いえ、むしろこちらからお願いしたいくらいです。レスター殿下にはつい先日アレをやられましたから」

アルベルト王子の頼みを快く引き受けると、ソフィア様がコロコロと可愛らしい笑い声を上げた。