「……確かにそうだけどな。一か八か賭けるにしても、危なすぎるじゃないか」
「でも、騎士たる者。多少の危険に尻込みしていたら、何もできませんよね?ぼくなら大丈夫です!きっと戻ってきます…それより」

わたしはアスター王子の気持ちを何より最優先したかったから、こう言う。

「だって、アスター王子の御母上様の眠り病が治る可能性があるんですよ!15年経ってやっと、手がかりができたんです。なら、小姓としてぼくが頑張らないと!アスター王子には今までたくさんたくさん恩を受けてきましたし、それに……何より。ぼくがアスター王子と御母上様に会ってほしいんです!だから、少しくらい危なくてもへっちゃらですし、頑張れますよ」

不安がない、と言ったら嘘になる。
でも、アスター王子のためならわたしは頑張れるんだ。

両手を挙げて大丈夫とアピールすれば、ピッツァさんはあきれ顔でため息をついた。

「おい、アスター。部下にここまで言われてだんまりかい?なんか言ったらどうだい?」
「…………」

確かに、いつもだったらアスター王子はうるさいくらい喋るのに……と不思議に思って見ると、突然王子から抱きしめられた。