「すみません……アスター王子。ぼくのせいで言いがかりを」
「気にするな。レスターはいつでもあんな調子だからな。おまえは悪くない」

大きな手で頭をぽんぽん、とされて。触れられた場所があたたかくなる気がした。

「……もう、子ども扱いしないでくださいよ!」
「成人まであと4年だろ?まだまだ子どもだ」
「8月には15になりますよ!来年には結婚だってできるんですから!」

嬉しいのに、照れ隠しの上に意地になってしまう。

そう。ゼイレームの成人は18歳だけど、結婚は男女とも16歳から認められてる。結婚すれば成人と同じ扱いになるんだ。

「ぼくが成人したら、アスター殿下はおっさんですね」
「誰がおっさんだ!3年後でもまだ23.4だ!」
「その頃には、いい加減婚約者くらい見つけてくださいね?部下のぼくが先に結婚したら外聞悪いですよ?」
「…………」

あれ?アスター王子なんか落ち込んでる??

「アスター王子、なにいじけてるんですか?」
「放っておいてくれ……方法が間違ってたと反省してるところだ……」
「はあ…短時間でお願いしますよ」

最近、アスター王子は喜怒哀楽が激しい。もうすぐ季節の変わり目だからかな?

「アスター殿下、早くしないとお昼ごはん終わっちゃいます!ソニア妃へのお見舞いはまた夜にきましょう」

落ち込んだアスター王子を引きずるようにして、後宮から飛び出した。