「たださあ」しずかちゃんは、お弁当に入っている卵焼きに、ぐさりとフォークをさす。綺麗に巻かれたそれは、形が崩れることなく持ち上がり、しずかちゃんの形の良い口に運ばれていった。



「私は心配になるのよ。砂那があまり前へ前へ出るタイプじゃないでしょ?むしろ引っ込み思案というか、あまり自分に自信が持てないというか……。そこに、うり二つのトキくんが横に並んだら、砂那が更に殻に閉じこもるんじゃないかって不安なのよ」

「殻に、閉じこもる?」

「トキくんには、砂那の手を引っ張ってほしいの。多少強引なくらいに。砂那の魅力を引き出してほしいの。自分に自信をつけてほしいのよ。委員長をやれって言われても断れるくらいにはね」

「う……っ」



しずかちゃんの言いたい事、痛いほど分かる。しずかちゃんの言葉は全て「正しい」。私が引っ込み思案なところも、自分に自信がないところも。