そういえば……俺って……



『明日は楽しもう、倉掛さん』



とか言って、保健室で寝ている倉掛さんにキスしたよな?

寝込み……襲ったよな?



「最悪だ……」



まさか、自分がこんなに忍耐がないとは思わなかった。

逆を言えば、倉掛さんの魅力が計り知れないのか……。



「(なんてのは、都合のいい俺の言い訳だよな……でも)」



皆のために一心不乱に頑張るその姿も、

俺にお礼がしたいと言って無邪気に隣を歩く姿も、

本当は他校の女子の前に出るのは怖いのに、俺を助けるために頑張るその姿も――


俺にとっては、全部の倉掛さんが最高で……可愛く思える。


だからこそ、髪ゴムを買ってしまって……引かれなかったかな。

倉掛さんを前にすると我を忘れて行動してしまう癖が、俺にはある気がする。



「……気を付けよう」

「何を気を付けるの?」