私のとても優秀な出来る従姉妹のラウィーニアは幼い頃に王太子妃候補の一人として選ばれた時から、毎日城に通い厳しい教師たちに囲まれて勉強漬けだった。めでたく候補ではなく、王太子妃となる事が決まった今でも、それは当たり前のように続いている。

 そんな彼女からランスロット・グラディスの訓練姿を一度見に行ってみましょうよと誘われたのは、彼と初めてちゃんとした会話を交わせた夜会から少し経っての出来事だった。

 あの後も彼から何通か素っ気ない手紙は来ていたものの。あの規模で大きな夜会となると、社交期だとしても毎週のように開かれているという訳でもない。そして、正式にお付き合いをしている訳でもない、まだ検討段階の未婚の男女が集える場所もそう多くない。

 だからこそ、少ない機会に合わせて皆尋常ではないほどに気合いを入れることになる。