それからは、ソファーに座り一夜とゲームをした。


私もそうだけど、一夜も初めてするゲームだから、二人共下手くそで、
なにこれ、って二人で笑い合った。


「俺、このゲームの古いやつ、小学生の頃持ってたんだよ?
でも、今みたいにこんな綺麗な画面じゃなくて、内容もただ車で走ってるだけで。
んー、けっこう、友達同士の間でも上手かったんだけどな」


確かに、私が物心付いた頃からあるゲームで。


ソフトだけじゃなく、ハードもかなり進化し変わっている。


「一夜が小学生の頃ってどんな子だったの?
想像つかない」


一回り年齢差のある私達。


一夜が小学生の頃は、私は生まれてもないのか。



「俺が小学生…。
けっこう普通だったよ…。
いやー、でも、普通じゃないかも。
うちのじいさん、母親側のヤクザの方ね。
初孫の俺の事凄く溺愛してて、いつも凄い俺に小遣いくれて。
小学生の俺の財布には、いつも10万以上入ってて、周りが引いてて。
うちの母親が、いつもそんなじいさんに困ってた」


その話を聞きながら、この人のおじいさんの初代聖王会会長の及川竜三の事はよく知らないが、
なんとなく、それは一夜っぽいなと思ってしまった。



「一夜のお母さ……ごめん」


一夜のお母さんがどんな人なのか訊こうとして、思い出した。


私は一夜の事を、昌也から聞いて色々と知っている。


「謝らないで。
真湖ちゃん知ってるんだ?
まあ、本堂に聞かなくても、知っててもおかしくはない事件だったから」


「うん…」