「にしても、彼氏が警察官だから浮気しないって。
それ、超ウケる」
アハハ、と声を出して笑っていて。
それを悔しい気持ちで見ているけど、何も言えない。
「今頃、警察官の真湖ちゃんの彼氏、
他の女と裸で抱き合っているかもね」
それが、頭に浮かんで、泣きそうになる。
「彼は本当に、仕事だから!」
嫌な想像を打ち消すように、そう言葉にする。
「真湖ちゃんの彼氏、こんな時間も仕事中?」
「今夜は家に帰れないって…。
だから、今も仕事中だと思う」
昼間のLINEで、昌也からそうメッセージが来た。
「家って、彼は実家暮らし?一人暮らし?
それとも、寮だったりする?」
「寮じゃなく、一人暮らし…」
なんで、そんな事訊くの?
「じゃあ、その彼の家に今から行ってみたら?
きっと、居るよ。
一人じゃないかもしれないけど」
「え?」
「合鍵とか貰ってないの?」
「貰ってるけど…」
今日は昌也の部屋にお泊まりの予定だったけど。
そうドタキャンされて。
帰らない、と言われているから、
それなのに、勝手に昌也の部屋に行くなんて出来ない。
以前から、俺の居ない時に勝手に部屋に来ないで、と言われているから。
「じゃあ、こっそりと部屋覗いてみたら?」
「そんな事…」
出来るわけない、と思ったけど。
したって、いいんじゃないか?っと思ってしまった。
だって、昌也が本当に仕事で居ないのならば、問題ない。
勝手に少し部屋に上がり込んだくらい、バレないだろう。



