「じゃあ、私が払うよ?
少しくらいは、一夜に何かしてあげたい」
ギリギリ払えるくらいは、財布の中に入っている。
きっと、こうやって恩を返せる機会は、今しかない。
「いいよ。ホテル代を女に払わせるとか、カッコ悪くて俺生きて行けない。
一応、俺は聖王会会長だよ?」
そう笑いながら、私の肩を抱き引き寄せる。
ソファーに座っているけど、少しバランスを崩して一夜にしがみついてしまう。
「その分、今夜はたっぷり真湖ちゃんの事堪能させて?」
それに、今さらながら凄く照れてしまう。
「…うん」
一夜の左側に居て、頬が一夜の胸辺りに触れているからか、
一夜のいつもより大きくなっている心臓の音がハッキリと聞こえる。
この人、こういう事言うのは、ちょっと照れ隠しの所もあるのかも。
「一夜は、なんで私の事を好きになってくれたの?」
「ん?だって、真湖ちゃん可愛いから」
「そんな漠然とした答えじゃなくて」
私から見たら、この人は大人で好きにならずにはいられないくらい魅力的だけど。
この人から見て私は、好きになって貰えるだけの魅力があるのだろうか?
「前にこのホテルで真湖ちゃんに会った時。
俺が用意したバースデーケーキ見て、凄く嬉しそうな顔してて。
その真湖ちゃんの顔見てたら、こっち迄嬉しくて…。
なんかね、その時キュンとして。
一回そう思ったら、それからは真湖ちゃんの事意識せずにはいられなかった」
「そうなんだ…」
一夜が私を好きになってくれたのは、そうなのか。
「それに、真湖ちゃん寂しがりやで。
だから、放っておけなくて」
「うん…」
「俺は、真湖ちゃんの事が可愛くて仕方ない」
この人が私を可愛いと言ってくれるのは、好きと同じなんだな。
「一夜、大好きだよ」
そう言葉にすると、キスをされる。
ゆっくりとそのままソファーに押し倒され、私は一夜の背に腕を回した。



