「過去には何人か付き合ったけど。
学生の頃は、まあ、そこそこモテて。
常に彼女も居たし、けっこう遊んだな。
この世界に入ってからは、俺の彼女ってホステスの女の子ばかりなんだよね。
その子達は、まあ、俺が好きってより、俺と居ていい思いがしたいような子達ばかりで。
だから、俺も色々買ってあげちゃうんだけど」


この人がそうやって女の人を甘やかしている所が、目に浮かぶよう。


「けど、昔からそうだけど、俺のじいさんがヤクザなのは、周りは知ってて。
今は俺が、そうで…。
みんな、あまり深く俺と関わりたくなさそうだよ?」


そう、普通に話しているけど。


向けて来たその目が、お前もそうだろ?と、言っているように見える。



「…だって、ヤクザなんて怖いじゃん」


それは、今もそう。

一夜が、ふとした時に見せる冷たい目が、私は今も怖い。



「だよね?
だから、真湖ちゃんも俺とは付き合ってくれないのか」


そう言うけど。


もし、私が付き合って、と言ったら。

逆に困って、誤魔化されそうだな、きっと。

いつもこの人の方からグイグイと来ているのに、
追いかけているのは、いつも私の方。


「居酒屋みたいな所でご飯食べて、
その後の事は、その時考えよっか?」


「うん。そうだね?」


本当に、一夜と私の関係って、何なのだろうか。


私は、一緒に居れば居る程、この人に惹かれて行っている。