「はーい」
一夜がそう返事すると、扉が開く。
開いた扉の向こうには、背の高い、けっこう素敵なスーツ姿の男性が立っていた。
一夜と同じ歳くらい?それよりも若いかな?
「いっちゃん、こんな明るい時間から、何してんの?」
その人はベッドで抱き合う私達を見ながら、苦笑している。
いっちゃん、って、一夜の事?
それよりも、人前でこんな、恥ずかしい。
「べつに、何時から女の子といちゃいちゃしててもいいじゃん」
一夜は人前で、とか関係ないのか、
構わず私を抱きしめたまま。
「何時からでも構わないけど、
人前とかは辞めといたら?
彼女困ってない?」
「一体、ナガやんは何しに来たの?」
一夜は私から離れると、ベッドの端を椅子にし、座る。
私も一人で寝転んでいてもあれなので、体を起こした。
この人が、ナガやん、なのか?
こうやって改めて見ると、本当に凄く背が高い人だな。
そういえば、永倉ジュニアもこの人くらい背が高かった。
「今日、取引のある会社の専務を接待してたんだけど、
お土産にメロン貰って。
一人で食べきれないから、いっちゃんと食べようかな?ってね」
ナガやんはそう言うと、そのメロンの入った木箱を私達に見せる。
木箱入りとか、凄い高いメロンなのだろう。
「ナガやん、今日はもう仕事終わったの?」
「ん?今日は祝日だから。
俺はちょっと接待で昼出てただけ」
そうか。今日は祝日か。
暇な学生していると、月日の感覚とかも無くなるな。
「この子いっちゃんの彼女?けっこう可愛い子だね」
ナガやんはそう言って、ソファーに腰を下ろした。
「ん、まぁね。
付き合ってはないんだけどね」
一夜はそう言って、チラリと私の方を見る。
ナガやんもお世辞的な感じで可愛いとか言ってくれたのだろうけど。
なんか照れ臭いな。



