「…また邪魔が入ったし」
一夜はため息を吐き、私から身を離すとベッドから降りて、そのスマホを手に取る。
「はいはーい」
そう電話に出ると、ソファーに座っている。
「今?うん。自分ん家。
え、一人じゃないし。
ちょうど今から、セックスするとこだったのに」
その言葉に、端で聞いてて顔が赤くなってしまう。
なんとなく、そういう気分じゃなくなってしまったな。
電話の相手は誰か分からないけど、
一夜は楽しそうに、笑っている。
「まあ、来てもいいけど。
ナガやんすぐに帰ってよ?
うん。分かった。
じゃあ、後ほど」
一夜はそう言って、電話を切った。
「誰か来るの?」
「うん。ナガやんが」
一夜は再び、ベッドに戻って来て私の隣に寝転ぶ。
ナガやん?
一夜の友達だろうか?
「真湖ちゃん」
ギュッと抱きしめられ、それにドキドキとした。
一夜の肩辺りに私の顔があるのだけど、
密着しているからか、一夜の鼓動が早く大きくなっているのが分かった。
「一夜、ドキドキしてる?」
「あれ?バレた?
けっこうドキドキしてる」
一夜のその鼓動が、心地良くて。
なんだか、ずっとこうしていたいと思った。
「真湖ちゃんとは、ヤレなくても、なんかこうしてるだけでいいや」
一夜も私と同じような気持ちなのだろうか。
私も、このままでもいい。
そういえば、ナガやんって人が来るんだっけ?と思い出したくらいに、
一夜の部屋の扉がノックされた。



