「俺、まだふらふらするから、ベッドで寝転んでいい?」
そう言って、私の返事を聞かずに私をベッドの方へと連れて行く。
一夜は一人ベッドに寝転ぶと、
「おいで」
そう、立ちすくむ私に向けて両手を広げて来る。
「…うん」
どうしよう、と迷いながらも、ゆっくりとベッドへと乗り、
一夜の上に少し乗り掛かるように抱き着いた。
「真湖ちゃん、いい匂い。
シャワー浴びて来た?」
そう言われ、まあ、と口にする。
「真湖ちゃん、そんなに俺とヤりたいの?」
そう笑われて、べつに、と答えた。
またその気にさせられて、一夜は私に何もしないのだろうな。
こんな風に部屋に呼んで、ベッドで抱きしめたりしているのに。
だから、期待しない。
「…一夜は、私とヤる気ないんでしょ?
いつもそういう事ばかり言うくせに…」
「なんと、今日の俺は真湖ちゃんの事を抱く気満々」
そう言って、一夜は私をベッドへと押し倒し、
上に乗って来る。
「一夜…あの…えっと…待って」
今から始まるのか、と、突然過ぎて気持ちが追い付かない。
「俺、けっこう待ってない?」
そう言われると、そうなのか?
初めてのホテルの時も、こないだも。
一夜は、キス以上の事は私にしなくて。
「やっと、真湖ちゃん俺の事欲しがってくれた」
一夜の人差し指が、私の唇を撫でる。
きっと、今の私は欲しそうに一夜の顔を見ている。
「真湖ちゃん…」
細めた艶っぽい目で見下ろされ、
キスを待つように目を閉じた。
そんな時、電話の鳴るような音が響く。
それは、テーブルに置かれている、一夜のものだと思われるスマホ。



