夜と遊ぶ

その後暫くは、ただ、お肉を食べていた。


私だけじゃなく、一夜と前の二人も。


ふと、一夜が口を開いた。



「高崎、お前永倉ジュニアを殺れ」


やれ、って、それって…。


永倉ジュニアって、先日、私を送ってくれたあの人?


一夜のその言葉に、怖くて箸を持つ手が震える。


「加賀見会長、急になんの冗談ですか?
身内殺しは、この世界のご法度。
内輪揉めなんて、他所から笑われますよ」


高崎さんはそう笑って返しているけど。



「最近、ジュニアが手に負えなくて。
ほら?アイツ竜道会のシマのヤクの売人の外国人に、
大麻売らせてるみたいで。
その辺りで、あちらさんが怒ってる。
ジュニアのせいで、このまま竜道会とうちが抗争なんてなったら、
沢山の血が流れるよ?」


「でも、永倉を焚き付けてそうさせたのは、加賀見会長じゃないんですか?」


「焚き付けてって…。
俺はただ、いつまでも堅気の兄貴におんぶに抱っこでいいのか?って、ジュニアに言っただけ」


一夜とその高崎さんの会話は、私にはよく分からないけど。


私なんかが聞いてはいけないのではないか?と、思ってしまう。



「ほら?永倉の所の長男、籍抜けて、堅気だなんてスタンスで会社起こしたりしてるけど。
その会社から、けっこうな金が永倉の組に流れてる。
ある意味フロント企業だろ?
それに、長男の入れ知恵で、海外での飲食ビジネスで儲けて。
このご時世、永倉の所だけが金が溢れて仕方ないって感じだよな?

ま、永倉の所のおかげで、俺もこうやって毎日遊んで暮らせんだけど」


「加賀見会長は、一体どうしたいんですか?」


「だから、永倉二葉を殺れって言ってんの?」


ナガクラフタバ…。


それが、永倉ジュニアって人の名前。