夜と遊ぶ

「あ、そうそう。
この眼鏡は早瀬(はやせ)。
俺の側近?秘書みたいな感じ」


今さらながら、その眼鏡の男性を一夜に紹介された。


その早瀬さんは席に付かず、近くに立ったまま。


「早瀬です。
真湖さんはきっと加賀見会長から何も聞かされず、この場所に連れて来られたんでしょう」


そう言われ、はい…、と返す。


「ほら?鈴城がいい肉食べさせてくれるって言うから、
そういえば、って真湖ちゃんの事を思い出して。
真湖ちゃんにも、お肉食べさせてあげたいな、って」


という事は、この鈴城組長が、お肉をご馳走してくれるのか。


「真湖ちゃん沢山食べて」


そう言って、一夜は、私のお皿に沢山の焼けたお肉を入れる。



「えっと…。いただきます」


こんな風にヤクザに囲まれて、お肉どころじゃないけど。


全員にジーと見られて、逆に食べないといけないような空気で。

お肉を箸で掴み、口に放り込む。



「お、いしい」


お肉は、ビックリするくらい美味しくて、
私がそう漏らすと、横の一夜は、でしょ?って言っていて。


前の、高崎さんと鈴城組長も笑顔でそんな私を見ている。


クールな早瀬さんも、少し頬を緩めている。