夜と遊ぶ

一夜に手を繋がれ連れて行かれたのは、
高級そうな焼肉屋さん。


先程の、眼鏡の一夜のお付きの人が言っていた感じだと、
既に一度店内に通されているのだろう。



一夜は店の奥の個室へと行く。


その前から、この部屋だろうな、と分かった。


その部屋の前に四人、怖そうなスーツ姿の男の人が立っているから。


部屋は座敷で、一夜に促され靴を脱ぐ。


「ごめんね。ちょっと抜けて」


その個室には、二人の男性が居て、
一夜と眼鏡の男性と私以外は、この部屋には入らない。


「あれ?加賀見会長、急に居なくなったと思ったら、こんな若い可愛い子連れて戻って来て。
まさか、その辺りで拾って来たんですか?」


部屋に居た男性の一人。


スーツは着ているが、どことなく学生のような雰囲気の若い男性の方が、そう一夜に声を掛けている。


そして、その人は一夜に敬語を使ってはいるけど、
二人は親しいのがなんとなく分かる。


「真湖ちゃん可愛いでしょ?
真湖ちゃんの事拾ったのは一昨日で、今日は待ち合わせ。
こいつは、高崎(たかさき)」


高崎だと、一夜からその学生のような雰囲気の男性の事を紹介される。


「で、高崎の横のおっさんは、鈴城(すずしろ)。
うちの幹部で、鈴城組の組長」


高崎さんの横のその中年の男性。


多分、聖王会の二次団体の組長って事なのだろう。


そして、聖王会でも、幹部で。



「鈴城です。お見知りおきを」


その鈴城組長に頭を下げられ、
恐縮してしまう。



「もぉ、真湖ちゃん怖がってるから」


一夜はそう言って、私の手を掴み、
この人達の向かいに座らせる。



テーブルの鉄板には、肉が焼かれていて、
皿に入った生肉も置かれている。


きっと高いお肉なんだろうな、と思う、霜の降り方。