昌也は日頃の疲れからか、ぐっすりと眠っている。
私は枕元のスマホを、手に取る。
それは、昌也のスマホ。
昌也のスマホのロックの暗証番号は、
分かる。
昌也が自分の誕生日の数字を真逆から入力してるのは、
もうずっと前から近くで見ていて知っていた。
これで合っているか、以前、一度、今のように、眠っている昌也の横で、勝手に解除をした事がある。
だけど、その時はロックを解除しただけで、中を見なかった。
もし、昌也が浮気していたらどうしようか?と思って、怖くて。
今は、もう浮気している事を私は知っている。
LINEのアイコンを、タップした。
一番上は、私とのトークルームで。
その下が、昌也の高校時代からの親友の、海斗(かいと)君。
海斗君は、高校卒業後、調理師の専門学校へと行き、
現在、ホテルのレストランで働いている。
警察官の昌也と同じく海斗君も忙しいけど、
二人は今も仲良くしている。
さらにその下の、"ami"と書かれた、トークルームを、開いた。
(今日はやっぱり会えないの?)
そう書かれている文章に昌也は、
(今日はごめん。仕事が忙しくて、多分、泊まりになると思う)
そう、私に昨日送って来たような文章を、書いている。
少し遡り、昨日を見る。
(今日、昌也君に会えないかな?
会いたいな。)
それに対して、
(20時以降なら、いいよ。)
そう、昌也は返している。
そして、その後はM駅のカフェで、
二人は待ち合わせするやり取りをしている。
昨日は、この"ami"ちゃんからの急なお誘いで、私との約束をドタキャンしたのか…。
なのに、今日はこの子を断り、私を誘ったのはなんでだろう?
なんとなく、海斗君とのトークルームを開いた。
(この前知り合ったあの事務の子、夕べお持ち帰り出来たんだけど、急に生理になられてお預け。最悪。
あー、今夜は、真湖でも誘うか?)
それは、海斗君宛の昌也のメッセージ。



