夜と遊ぶ


修司とそうやって会った、数日後。
私は一夜の眠る霊園へと来ていた。


月に一度程、今も一夜のお墓にこうやって訪れる。
初めの頃は花とかを用意していたけど。
いつの頃か、何も持たずに、ふらっと訪れる。


先程から雨が振り出して段々と雨足が強くなり、今は私の体を叩きつけるように降っている。


天気予報を見ずに家を出て、此処に来てから雨が降りだしたので傘も買えず。


もう全身ずぶ濡れで。
ここまで濡れてしまえば、もうどうでもいい。
鞄が濡れるのは、気になるけど。


今日に限って、車じゃなく電車で来てしまった。
駅の近くのモールで新しい服を買って、帰ろう。
びしょ濡れで電車に乗るのも…。


うーん、乗せてくれるならタクシーに乗ろうかな?
こんな場合を想定して、タクシーにビニールシートとか積んでないだろうか?
もしくは、私がコンビニでレジャーシートでも買って…。


そう思っていると、私に降る雨が消えた。
雨の音が強くて気付かなかったけど、隣に人が立っていて、さしている傘に私も入れてくれている。


「真湖ちゃん、ずぶ濡れだけど大丈夫?」


久しぶりに会う、一枝さん。
傘もビニール傘とかじゃなく、どこかのブランドものっぽい大きな傘。
私を傘に入れた事で、一枝さんの高そうなスーツの肩が濡れている。


「…相変わらずで、一枝さん見てるとなんかムカつく」


それを、ふっと笑って交わされる。


「それにしても、久しぶりだね?
こないだのクリスマス、ここで真湖ちゃんに会うかな?って楽しみにしてたんだけど」


「去年のクリスマスは、私は仕事だったので」


なので、日をずらして一夜のお墓に来ていた。
気にはなっていたが、前のクリスマスも一枝さんはここに来たんだな。
そして、こうやって今日のように、この人も時々ここを訪れているのだろうな。