「そういえば、年末、ジュニア達とバニーガールの店に行ったんだけど、
その時も、ジュニアにちょっと真湖ちゃんの事言われたな。
"あの女、色仕掛けで加賀見会長に近付いて来たわりには、貧乳過ぎません?"って。
ジュニアの中では、真湖ちゃんは聖王会を探る為に体使って俺に近付いて来たみたいになってんのかな?
昨日も待ち伏せして、ジュニア、真湖ちゃんの事イジメるから俺キレて」


「へぇ、そうなんだ」


夕べの出来事は、まだナガやんには伝わってないのか。


「そっから、真湖ちゃんと話し合いになって。
その話の流れで、真湖ちゃんが警察官になるとか言うから、じゃあ、俺達別れようみたいになって。
ジュニアのせい」


ちょっと嘘だけど、ジュニアのせいなのは本当。


アイツさえ夕べ現れなければ、今もまだ俺は真湖ちゃんといられたのに。


「それは、うちの弟が悪かったね」


「本当に、ジュニアのせい」


よりによって、なんで真湖ちゃんに俺がバニーガールのお尻触ってたのを言っちゃうのか。


あの時酔ってたし、その場の雰囲気でちょっとくらい触っちゃうでしょ。


「俺も前々からふうちゃんには注意してるんだけどね。
いっちゃんの彼女の真湖ちゃんに絶対に何もするな、って事もそうだけど。
あんまりいっちゃんの事怒らせたら、ふうちゃん殺されるよ?って」


「ハハ、それは物騒」


ジュニアは、そんな兄の忠告をまるっきり無視なわけか。


だから、殺される。


ナガやんが来る少し前に、高崎に電話して、ジュニアを殺れと言った。


それは今日明日はないにしろ、近いうちに、高崎は永倉二葉を殺るだろうな。


やはり、昔から知ってる二葉を、とずっと躊躇う気持ちが俺の中にあったけど、
真湖ちゃんの事でそれが吹っ切れた。


またジュニアが真湖ちゃんに近付く可能性がないわけじゃないから、
早く消してしまおう。