「あの、一夜は?」


「ニュース見てませんか?」


そう、淡々と言われて。


「嘘ですよね?
一夜が撃たれて、亡くなったって?」


「俺も、さっきニュースで少し見ただけなんですよ。
携帯の電源も0時くらいから落としているので。
きっと、今頃色々な人間が俺に電話してるでしょうね。
俺は加賀見会長の秘書なので。
あ、昨夜は休みを貰ってました。
女性とデートという名目で」


早瀬さんがそう話す感じを見ていると、この人は何もかも分かっているのだろうか。


「あの、早瀬さん。
あなたは、何を知っているのですか?」


「加賀見会長から頼まれてました。
夕べ、自分の代わりに、このホテルの707号室の部屋に、ケーキと薔薇の花を届けて欲しいと。
実際、薔薇を運んで来たのは、花屋ですが。
千本近い花を個人で運ぶのは大変だから」


千本近い…。


「あの、薔薇の花束は、千本ではないのですか?」


「999本です。
ああ、初めは千本の予定でした。
加賀見会長と俺も一緒に花屋に予約に行ったのですが、花屋の店員に言われて。
薔薇は贈る本数によって、意味が変わるって。
それで、加賀見会長その場でスマホで調べて、千本じゃなく、999本でと頼んでました」


あの薔薇の数に、意味があるの?


1000本ではダメで、999本…。


私はスマホで、それを調べる。


999本の赤い薔薇の意味は、
何度生まれ変わってもあなたを愛する。