夜と遊ぶ

「まあ、こんなもんかな?
まだ気になる事ある?」


「ある。さっき、永倉ジュニアに、お前が持ってるのか?って、言われた。
父親から渡されたものがあるんじゃないかって」


そもそも、それが一番気になる。


「それは、USBだと思う」


「USB?」


「ナガやん…。
永倉一枝、今は他の家の籍に入ってて、岡崎一枝と名乗り、会社やってるのは、真湖ちゃんも知ってるでしょ?」


「うん」


一枝さんは、誰でも知ってる居酒屋チェーン店を経営している会社の代表。

初めて一枝さんに会った時に、そう話していた。


「ナガやんは、その会社を使って、永倉組にガンガン資金を送り込んでいて。
永倉の方が作った、海外の宗教団体やボランティア団体に、お布施や寄付の名目で、金を流していて。
そのお金の大半が、ナガやんが会社を利用して作った裏金で。
その辺りの、永倉組へのお金の動きを記したデータを永倉組の奴がコピーして、綾瀬さんに売ったのをジュニアがすぐに気付いて。
で、ジュニアはそれを取り返そうと、綾瀬さんを拉致して、殺した」

先程よりも、私のお父さんが殺された事が真実味を帯びて来る。


「でも、殺す前に綾瀬さんに吐かせたそのUSBの隠し場所が空振りで、ジュニアは躍起になってそれを探してて。
と、まあ、俺の憶測だけど、そんな感じだと思う。
永倉組にそうやってナガやんから流れているお金は、上の俺に知られたら巻き上げられるからジュニアは俺にその件は一切隠してて。
それを俺は知らない事になってる」


「そんなUSB、私は持ってるはずないのに」


「そうだよね。普通は娘の真湖ちゃんがなんて思わないだろうけど、
少しでも可能性があるなら、ってジュニアは焦ってる。
でも、絶対に見つからないよ。
だって、俺が持ってるから」


「一夜が?!」


一夜が、そのUSBを持っているの?