「それにしても、いっちゃんはこんな可愛い彼女が居て幸せそうで、いいな。
俺にもこんな可愛い彼女出来ないかな」
「でしょ?真湖ちゃん本当に可愛くてたまんなくて。
ナガやん、真湖ちゃんに惚れないでよ?」
「それは、ないよ」
一枝さんは、チラリと私の胸元を見た。
「あー、真湖ちゃん、胸が小さいの気にして傷付くから、そういうの辞めてあげて!」
一夜は、一枝さんの言動をわざわざそう説明してくれて。
また二人でケラケラと笑い転げていて、本当に不愉快。
「けど、最近いっちゃん、ずっと真湖ちゃんと部屋に籠ってるんでしょ?
毎日、二人で何してんの?」
「ゲームしたり、映画観たり。
でも、大半はセックスしてる」
一夜の言うように、ベッドのあるこの部屋で二人で居たら、
すぐにそういう雰囲気になってしまう。
「えー、なんか不健全だね」
一枝さんの言うように、不健全かもしれない。
「そう?いい運動になってるよ?
俺、最近体重計乗ったら、2キロ痩せてた」
一夜は、自分のお腹辺りを触っている。
元々、お腹なんて出てなくて、引き締まって筋肉で割れているけど。
言われてみると、初めに見た時より、一夜の腰周りが細くなったかもしれない。
そして、私も少し痩せたかもしれない。
ウエスト辺りが、スッキリとしたように感じる。
「じゃあ、今夜は二人とも沢山食べて」
「あ、じゃあ俺、ビール取って来る」
一夜はそう言って、部屋から出て行った。
やはり、一枝さんと二人っきりになると、妙に気まずい。
そして、この人の弟の永倉ジュニアの事を思い出してしまった。
こうやってこの人が楽しそうにしているのを見ると、
永倉ジュニアは、まだ殺されていないのだろうな。
もしかしたら、あの焼肉屋では一夜はそんな話をしていたけど、
本当に、この人の弟を高崎さんに殺させようなんて思ってないのかもしれない。



