さくらと夢のような時間を過ごしたクリスマスから、早くも2ヶ月が経った。


僕が危惧していた通り、さくらはクリスマスの2日後に体調を急変させて大学病院に救急搬送され、2月も半ばとなった今もずっと入院したままで。


僕とエマと大和は何度かお見舞いに行ったけれど、彼女は1日の殆どを眠っているせいで満足に意思疎通も出来なかった。


初めて彼女の元を訪れた際、ありとあらゆる管に繋がれ、酸素マスクまで付けられたさくらの変わり果てた姿を見たエマは号泣し、大和は病室の入り口から1歩も中に入る事が出来なくて。

幾ら心の準備をしていた僕でさえ、流れる涙を止める事は出来なかった。

それくらい、彼女の存在は僕達にとって大きかったんだ。



さくらが眠ってしまっている間に僕は17歳の誕生日を迎え、さくらの両親からは僕達がお見舞いに来てくれる事に対して深く感謝をされた。


その事についてさくらに話したいのに、もう、僕達には十分な時間が残されていなかった。




そうして、彼女の命の期限まで1ヶ月を切ったある日の事だった。


「フユちゃん!ちょっとこれ見て、早く!」


朝、登校した僕がいつものようにぼんやりと外を眺めていると、血相を変えたエマが教室に飛び込んできて僕の机をバシンと叩いた。