例えば今日、世界から春が消えても。

その直後に鳴ったブザーと、


「っ、…勝ったあああ!」


鳴り止まない、完成と拍手。


その感動の渦に巻き込まれた僕の腕に、感動と興奮から鳥肌が立つ。


「勝ったよ、冬真君!私ちゃんと見た!大和君、物凄く格好良かった!」


隣に居るさくらは一瞬で元気になったのか、最初と同じように興奮気味にぴょんぴょんと飛び跳ねていて。


「うん!」


彼女に呼応するように笑顔を浮かべた僕はその手を取り、ハイタッチをする。


ふと校庭の方を見ると、

「最後、お前らの声聞こえたー!」

部員に囲まれて喜びを味わっていたはずの大和が、こちらに手を振りながら大声を上げていて。


「最高だったよー!」


さくらは、満面の笑みで応えていた。




それから暫く経ち、観戦に来ていた保護者達が帰り、サッカー部の手短なミーティングが終わった後。


「2人共お疲れ。試合、おめでとう」


「こちらこそ、わざわざ来てくれてありがとう。長時間も椅子に座りっぱなしで痛くない?」


エマと大和は、部員との会話や後片付けよりも真っ先に僕達の方に駆け寄って来てくれた。


僕達以外誰も居なくなった観客席は、しんと静まり返っている。


「ううん、全く!応援してるエマちゃんも可愛かった」


あれから、目眩がすると言って再び僕の肩にもたれかかっていたさくらは、2人の前ではいつも通りの笑顔を見せている。