例えば今日、世界から春が消えても。

彼女の目は光っていて、そのまま見つめているとその銀河の中に吸い込まれそうで、

彼女を安心させるように笑った僕は、そっと校庭の方に目を向けた。



家族が死んでから全てを悲観的に、俯瞰的に考えるようになってしまった僕にとって、自分で決めた部活をする事はいつしか苦になっていた。


半袖で腕を晒して走り回る部員の中に混じる、長袖の僕。

浮いているのは自分でも分かっていたし、大和とエマに傷跡の事を打ち明けた後も仲間の輪に入れない自分が居た。

家でユニフォームや靴を洗ったり昼食を用意していたのは叔母だったけれど、彼女が心の中で愚痴を言っているように思えて。

家族が感じている負担を減らし、この劣等感から抜け出すにはどうしたら良いか。


死にたくなる気持ちに抗うようにして辿り着いた答えこそが、”部活を辞める”という道だった。


「それ、…後悔してないの?」


視線を正面に向けている僕に、彼女の真っ直ぐな視線が刺さるのを感じる。


「してないよ」


即答だった。


だって、

「部活を辞めなかったら、こんなに長い時間さくらと一緒に過ごせなかったから」

僕は今、生きる理由を見つけているから。


「そうだね。…照れちゃう」


自分の話が出た事に、彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめる。


「でも、…私も、後悔してない」