赤点を取るという危機感をまるで持たない大和が爆睡する傍ら、さくらはそんな彼の寝顔を写真に収めては爆笑していて。


定期試験最終日の放課後には、僕達は再度教室に残って『放課後にお菓子パーティーをする』という願いを叶えた。


エマがデリバリーで頼んだピザとポテト、そして一応健康を意識して購入したサラダを並べ、試験を乗り切った自分達を労ったんだ。



「じゃーん!こちら、中村家特製のサンドイッチでーす!」


「私も負けてないよ、ママと一緒にクッキー作ってきたんだから!」


そして10月下旬のある日の昼休み、普段は使われていない屋上に忍び込んだ僕達は、さくらのやりたいことを叶えると同時に少々豪華な昼食にありついた。


その数日後には、聞く価値がないと判断した家庭科の授業を4人揃ってサボった僕達は、先生達に見つからないように空き教室に忍び込み、そこに置かれていたプロジェクターを使って映画を一本観た。


『放課後に映画を見に行く』『授業を1時間サボって、何でもいいから楽しいことをする』という2つの願いを同時に叶えた事になるけれど、さくらは不平不満を一切漏らさずに終始笑顔を浮かべていて。


本当は一つ一つゆっくり叶えてあげたかったのだけれど、そろそろ、さくらの体力が限界を迎え始めている事に僕達も気付き始めていたんだ。