例えば今日、世界から春が消えても。

今まで僕達の話を静かに聞いていたさくらは、間延びした声で返答する。


「いいなー。どんなんだった?写真ないの?」


「写真?」


無邪気な大和の質問に、さくらはアイスティーを飲む手を止めた。


「…ごめん、全部ママのパソコンに移動させちゃったから、今見せられないんだ」


不自然な間が空き、彼女は目線を上げると共に口角を上げた。


「そっかー。じゃあ海は?泳いだ?」


「少しだけ」


「ハワイのビーチ綺麗だって言うもんね。羨ましいなぁ」


大和の新たな問いに答えたさくらに対し、エマが大袈裟に頬に手を当てる。


「でも、…それにしてはサクちゃん焼けてなくない?大和なんて真っ黒なのに」


直後、不思議そうに首を傾げたエマは、さくらの雪のように白い肌と大和の褐色肌を交互に見つめた。


「あはは、それは…ラッシュガード着てたから。日焼けしたくなかったし」


コトッ、と、さくらがコップをテーブルに置く音がする。


彼女は笑い声を上げているのにその声は全く笑っていなくて、どちらかと言えば無理をしているようで。



『フユちゃん、長袖のままで試合してて暑くないの?熱中症になるかもしれないし、心配だよ』

『…大丈夫だから、放っといて』



その姿は、1年前の自分と妙に重なった。


「あのさ、そんな事より…」