例えば今日、世界から春が消えても。

ケーキを前にした僕達もアイスティーだけを頼んださくらも、それに倣って手を合わせる。


「いただきまーす!」


さくらの明るい声が、やけに印象的だった。




「…そういえばさ、俺海外行ったことないんだよね」


暫く他愛のない話をしながらケーキを食べていると、大和がいきなりそんな事を言い始めた。


「そうなの?アメリカは行くべきだよ。国自体も大きいし、自由の女神もあるし、食べ物も美味しいし」


チーズケーキを口に入れたエマが目を見開き、自身の出身地であるアメリカについて興奮気味に説明し出す。


「アメリカってさ、あのでっかいとこだけがアメリカなの?」


それに対し、大和は空中に世界地図を描きながら北アメリカ大陸と思われる部分を指し示した。


黙って水を飲んでいた僕は、ううん、と首を振る。


「ハワイとか、グアムとかもアメリカに入るんじゃない?」


「あー、ハワイって日本とアメリカの間にある島?常夏の!」


優しく教えると、ヤシの木があるあれか!、と、大和は新種を発見した学者のように目を輝かせて何度も頷いた。


「あ、サクちゃん、2学期始まってから休んでた間にハワイ行ってたんだよね?」


そこで、チーズケーキを器用にフォークで切っていたエマが口を挟む。


「そうだよー」