例えば今日、世界から春が消えても。

お昼、食べ過ぎちゃったんだよねー。

そう言って笑いを取るさくらに向かって頷いた僕は、そっと彼女の手からメニュー表を回収する。

昼食におにぎりを1つしか食べていなかったのに、それのどこが“食べ過ぎ”にあたるのかと不安に思いながら────。



しばらく学校関係の話をして盛り上がっていると、続々と僕達が頼んでいたケーキが運ばれてきた。


「わー、美味しそう!食べる前に写真撮りたい!」


遊園地に行った時にさくらも食べ物の写真を撮っていたから、今の女子の中ではそれがブームなのだろうか。


モデルなのに一切の食事制限をしていないエマが、目を輝かせてスマホを掲げる。


「私も撮りたいな」


そんなエマに便乗したのはもちろんさくらで、彼女は僕達の前に置かれたケーキを写真に収めた後、

「皆で写真撮りたい。こっち寄ってー」

と、細い腕を最大限に伸ばしてカメラの枠内に皆が入るように誘導し始めた。


「皆写ってる?やだ大和君、ボール持つならケーキ持ってよね…いくよ、はい、チーズ」


そうして彼女の主導により、すぐにカメラのシャッターが切られたんだ。



「…よし、良い感じ。ありがとう」


写真を確認した彼女は、すぐに顔を上げて微笑む。


「はーい!…じゃあ、手を合わせてー」


そんなさくらに対し、整った顔をくしゃりとさせて笑い返したエマはパチンと両手を合わせた。