戻り駅

 玄関先で誠が立ち止まる。


「じゃ、また明日学校で」


「うん。送ってくれてありがとう」


 前回と同じように誠に手を振り玄関を開ける。一度ドアを閉めて一分ほど待ち、私は再び外へ出た。そして早足で誠の後を追いかける。少し行くとすぐに誠の後姿が見えた。


 私は歩調を緩め、日傘をさして顔を隠しながらその後を追いかける。


 デート中誠に変わった様子は見られなかった。まだなにも起こっていないのか、それとも何かを隠しているのか、どうしても知る必要があった


 思えば家まで送ってくれた後誠がどういう行動を取るのか見たことがなかった。


 もちろんそのまま真っ直ぐに家に帰っていると思っていたから疑いもしなかったが、今回ばかりはすべてを疑ってかかる必要
があった。その結果なにかよくないことを知ることになったとしてもだ。


 緊張しながら初めて尾行をしてみたけれど、誠は一度コンビニに立ち寄る意外は特に変わった行動は見せずにそのまま家に入っていってしまった。


「成果なしか」


 私は安心する反面、不安な気持ちを抱えてそう呟いたのだった。