戻り駅

☆☆☆

 翌日は学校創設記念日で休日だった。


 誠とのメッセージのやりとりでデートの約束をしていたことを思い出す。


 本当なら一週間前のデートくらい覚えているのだけれど、衝撃的なことが多すぎてすっかり忘れてしまっていた。


 休日に誠と会うことで誠の変化に気がつくことができるかもしれない。そう考えた私は前回と同じ服を着て家を出た。


 この日はとてもいい天気で外を歩いていると日傘が必要な暑さだった。


 私と誠はできるだけ涼しい場所に行きたくて、映画館に向かったのだ。


「今日はすごく暑いな。映画でも見に行くか」


 あの時と同じセリフを言われて私はハッとして隣の誠を見た。


「どうした?」


「ううん。そうだね、映画にしよう」


 私たちが選んだのは今有名な恋愛映画だった。過去と未来を行き来して恋人の病気を治すのだ。


 最初にこの映画を見たとき、私はファンタジー映画だと思った。こんな素敵なこと現実で起こるわけがない。過去と未来を行き来することで恋人の病気は徐々によくなってきて、最後には二人で結婚式をあげることができる。


 でも現実はそんなに甘くない。