戻り駅

「もし本当はなにかあって、誠に対して許せないことがあるのなら、ちゃんと私に話をしてほしいの。そうすればきっと解決するから!」


 食い下がる私に良治は後ずさりをした。


 あからさまに異質なものでも見るような視線を向けてくる。その表情を見て私は言葉を切った。良治も本当になんのことかわかっていないみたいだ。


 だとすれば問題はまだ起こっていないということになる。


私は大きく息を吐き出して「ごめん」と、呟く。


 誠を助けたいがために、少し無茶なことをしてしまった。


「いや、別にいいよ」


 良治は戸惑った様子で頭をかくと、教室を出て行ったのだった。