戻り駅

 私は両手をついてどうにか起き上がるとアゴをすりむいて血が滴り落ちた。手の甲で涙と血を乱暴にぬぐい、駅舎へ向けて走りだした。


 一気にホームに駆け込むと同時にすでに到着していた汽車のドアが開いた。私は躊躇することなくそれに飛び乗る。エンジ色の椅子にオレンジ色の蛍光灯。それらに目をやる暇もなく叫んだ。


「早く、出して!!」


 悲痛な自分の声が、汽車の中にこだました。