戻り駅

 美紗を轢き、誠を二度も轢いたあの車。


 仮にあの車が誠の命を狙っているのだとすれば、あの車はどこかに隠れていたことになる。そして誠が学校から出て家に帰るタイミングを見計らっていたのだ。


 あの車を運転しているのは学校が終わる時間を知っていて、誠の家も知っている人物に限られてくる。その人物を特定してとめることができれば、今回の事故は引き起こされないですむことになるんだ。


 車の運転手の顔までは覚えていないのが悔やまれた。顔がわかればすぐに誰が犯人かわかったかもしれないのに。


 学校から出るとまず周囲を確認して回ることにした。タイミングを見計らっていたとずれば犯人はすでに近くで待機しているかもしれないからだ。


 学校付近の狭い路地。


 民家の駐車場に止められている車。


 そのひとつひとつをしらみつぶしに確認していく。そういしている間に一時間はすぐに過ぎて、昼休憩に入るチャイムが聞こえてきた。


 そのチャイムの音に急かされて早足になる。


どこを確認してみても、あのナンバーの車は停められていない。今はまだこの周辺に来ていないのか、それとももっとわかりにくい場所に待機しているのか。


 歩き回ってにじみ出てきた汗を手の甲でぬぐい、唾を飲み込む。


 喉はカラカラに渇いていて、張り付いて咳き込んだ。